
こんにちは!
仙台市太白区の若手税理士、髙橋拓人です。
今回は税金を減らしたいのか、貯金を増やしたいのかという話です。
税理士として多くの経営者様とお付き合いさせていただく中で、
時々スタンスの違いから意見が衝突する場面を見かけます。
特に「納税に対する意識」は、
税理士と経営者様の間でズレが生じやすいテーマの一つです。
税理士は法律に基づき「正しい税額を計算する」ことを目的としがちですが、
経営者様は純粋に「税金を減らす」ことを目的にしがちです。
この根本的なスタンスの違いが認識されないまま話を進めると、
お互いに不満が募り、ときにはケンカになってしまうのです。
税理士の目的と経営者の目的
なぜスタンスがずれるのでしょうか?
税理士の目的は「適切な納税」です。
税法を遵守し、過不足のない税金を計算し、申告までサポートするのが役目です。
極端な節税ばかりを追求し、税務調査で否認されるようなリスクは避けたいと考えがちです。
一方、経営者様の目的は「手元に現金を残すこと」です。
税金というコストは、単純に少ないほうが良いと考えるのは自然なことです。
このスタンスの違いを認識した上で、私自身の考え方を明確にお伝えしたいと思います。
私が大切にする「納税」のスタンス
私のスタンスは、
「経常的に使える節税以外はせず、なるべく納税しましょう」というものです。
私が積極的におすすめしている「経常的に使える節税」とは、
「どうせ払うものがあるなら、ついでに税金を安くしましょう」という考え方に基づいています。
具体的には、以下のようなものです。
- 役員社宅の導入: 役員個人が負担すべき家賃を会社が負担し、給与として支払うよりも税負担を軽減する方法。会社のお金を無駄にせず、役員の生活を支えられます。
- 備品の計画的な購入: 減価償却資産となる備品を、必要になったタイミングで計画的に購入し、費用化を図る方法。将来の出費を前倒しするだけで、不要な出費ではありません。
これらは、会社のキャッシュフローを悪化させずに、
税務上のメリットを享受できる、理にかなった手法です。
会社の体力を削る「おすすめしない節税」
一方で、私が強くおすすめしない「節税」もあります。
これらは、会社の現金を不必要に流出させてしまう行為だと考えているからです。
- 無理な車両の買い替え: 税金を安くするためだけに、まだ使える車両を買い替えたり、高額な新車を導入したりすること。
- 過度な交際費の使用: 目的なく「経費にするため」と称して、パーッと多額の飲食費などに費やしてしまうこと。
- 複雑な節税商品への加入: よくわからない保険商品やリース商品など、「節税」だけを目的にした金融商品に手を出してしまうこと。
これらの行動は、手元からお金が出ていくだけで、
事業の発展に直結しない、あるいはリスクを伴うケースが多いです。
言葉を選ばずに言ってしまえば、
「ただ周りの方を儲けさせているだけ」です。
なぜ無理な節税は会社を弱くするのか
これらをおすすめしない理由は、
非常にシンプルで、会社の体力が落ちてしまうからです。
法人が負担する法人税などの実効税率は、大体30%程度です。
つまり、100万円の節税をするためには、300万円のお金を何らかの経費として使わなければなりません。
結果、どうなるでしょうか?
100万円の税金は減りますが、会社の貯金は200万円減ることになります。
この200万円を温存できていれば、
事業発展のために優秀なパートさんを2人雇うことも、
新しい販促活動に投資することもできます。
そうすれば、もっと利益が残り、
来年以降、会社としてできることが格段に増えます。
逆に、100万円を納税すれば、会社には200万円の貯金が残るのです。
税金は「利益」以上にはかかりません。
社長が目指すべきゴールは、
今年の税金を安くすることでしょうか。
それとも、
手元の現金を増やし、会社の将来的な発展の土台を固めることでしょうか。
このスタンスを明確にすることが重要です。
顧問契約は「スタンスの一致」から始まる
顧問契約が長く続いている経営者様は、
この「税金を減らしたいのか、貯金を増やしたいのか」
という私のスタンスに共感してくださる方がほとんどです。
目先の節税テクニックだけを追いかけるのではなく、
「お金を使いすぎて会社を弱体化させてはいけない」
という考えを共有できる方と、
私は一緒に仕事をさせていただきたいと思っています。
お仕事のご依頼はこちら→https://tktk-tax.com/contact/